語り手を疑う

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蜘蛛の糸

上の絵はAIの描いたお釈迦様と犍陀多です。この絵はお釈迦様のイメージを上手く表現していると思います。(鎌倉や奈良の大仏はお釈迦様をイメージしています。)また、お釈迦様には人知を超えた力があり、神通力によって未来を見通すこともできました。
だとすれば、犍陀多の未来も分かっていたのではないか・・・。こう考えると、『蜘蛛の糸』には根本的な設定ミスのあることが分かります。それがどんな問題を引き起こしているかを、考えていきましょう。

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『こころ』(先生と遺書)(夏目漱石)

「先生と遺書」は先生の遺書をそのまま掲載する、凝った形式の作品である。遺書にはおびただしい矛盾が見いだせるが、その原因は先生にある。先生はもともと観察力・洞察力が心もとない上に、恋愛の当事者であるため冷静な観察ができない。先生が重要な事実をことごとく誤認しているために遺書には様々な矛盾が発生している。
先生の主観的説明を無視して、遺書に残された客観的事実のみを合理的に組み合わせていくと、先生の思い込みとは全く違う真相が見えてくる。

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少年の日の思い出(ヘルマン・ヘッセ、(高橋健二訳))

>その瞬間、僕は、すんでのところであいつの喉笛に飛びかかるところだった。

「あいつに飛びかかる」ではなく「あいつの喉笛に飛びかかる」であることに注意したい。この時、主人公はエーミールに殺意を抱いていた。表面的な読みでは分かり難いが、主人公は危険なほどに気性が激しく、エーミールはそれ以上に問題のある少年である。この二点を押さえなければ、この殺意の背景を説明することはできない。さらに、母親の行動には不可解な部分があり、それについても検討する必要がある。

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舞姫(森鴎外)

罪悪感に苦しむ主人公の手記をそのまま掲載するという、凝った形式の作品である。本文には主人公の気持ちが正直かつ赤裸々につづられているが、主人公はエリスとの関係についてある重大な事実を隠している。自分の罪を実際より小さく見せるためである。恋愛を描いた作品ならば必ず触れられるエピソードが出てこないことでそれが分かる。
この作品に嫌悪感を抱く生徒が(特に女子に)多い理由もここにある。

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